電子帳簿保存法という単語だけを捉えると、身の回りの紙ベースのものがすべて電子保存の対象になるような印象を受けるかもしれません。

そうではなく、対象になるのは【国税】に関する帳簿と書類に限定されます。

ですからこの法律を意識しないといけない人は、会社経営者や自営業者のような税務申告を行っている方々ということになります。

もともとは民間企業や団体から要望したもの

税務申告に必要な関係書類や帳簿というものは法令によって【紙】による保存が義務付けてられています。

しかし領収証や請求書といった取引書類は、たった1年間だけでもかなりのボリュームになりますし、事務管理のコンピューター化が浸透してきたことから、業務運営が効率的に行えるよう【紙】での保存から【電子データ】による保存を可能とするように日本経団連をはじめてとする民間企業からの要望として声が挙げられてきたのです。

そうして平成16年に現在の電子帳簿保存法の土台となる通称【e-文書通則法】(正式名称:民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律)が可決成立しました。

その後数度の法律改正が行われ、より実務の実情に合わせた制度となって令和4年1月1日より施行されることとなりました。このような経緯を考えると、新たなやっかいな制度というよりも、電子帳簿保存を取り入れていくほうがより簡便で合理的であると考えられるのではないでしょうか。

リモートワークには追い風

なお、令和4年1月に始まったこの制度は、税務申告に関係する書類・帳票の保存の方法を取り決めているのであって、経理の方法などは従来の通りで変更を強制されるものではありません。

しかしコロナ禍にあって、リモートワークが一気にスタンダードとなった経済環境を考えると経費の精算のためだけにわざわざ出社するムダを無くすことに一役立つことになるでしょう。