SNSに投稿されている自撮り画像を見ても判りますが、電子データは加工・編集が容易に出来てしまうという問題点があります。国税関係書類を保存するに当たっては、保存した電子データが改ざんできないようなシステムが必要となります。

ここでは、電子データを保存する際の必要なシステム要件をご紹介します。

電子帳簿(会計帳簿)保存の必要要件

法律の求める性能を保有するデスクトップアプリ(市販製品)を使用することが選択肢の一番に挙げられます。

(法律が求める性能とは)

  1. 記録事項の訂正および削除を行った場合にそれらの事実・内容が確認できること。
  2. 通常の業務期間を経過したあとに入力を行った場合にそれらの事実・内容が確認できること。
  3. 電子化した帳簿の記録事項とその帳簿に関連する他の帳簿の記録事項との間に相互に関連性が確認できる。
  4. システム関係書類(仕様書、説明書、事務処理マニュアル等)を備え付けている。
  5. 保存場所に電子計算機、当該プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面に表示または書面に速やかに出力できること。
  6. 複数の要素の検索ができること。(取引日、取引金額、取引先等)
  7. 税務署員の質問検査権に基づくダウンロードの求めに応じることができること。

スキャナーによる保存

スキャナー保存は、日々の取引で授受した請求書や領収証といった紙の証憑を電子データに変換し保存する際に使用します。

a.読み取り機器の要件

  1. スキャナー、デジタルカメラ、スマートフォン等の一定水準以上の解像度およびカラー画像による読み取りが可能であるもの。
  2. 一定水準の解像度とは200dpi相当であること。
  3. 重要度の高い書類については赤・緑及び青の階調がそれぞれ256階調以上(24ビットカラー)であること。重要度の低い書類については白黒階調も可。

b.システムの性能に関する要件

  1. タイムスタンプ機能 ・・・ 生成された電子データごとにタイムスタンプを付すことができること。
  2. 読み取り情報 ・・・ 解像度、階調及び国税関係書類のサイズに関する情報を保存できること。(重要度の低い書類についてはサイズに関する情報は不要)
  3. バージョン管理 ・・・ 国税関係書類の電子データを訂正または削除した場合はその事実及び内容が確認できること。
  4. 入力者等情報 ・・・ 国税関係書類を登録した人、またはその者を管理する人に関する情報が確認できること。
  5. 帳簿との相互関連性 ・・・ 国税関係書類とそれに対応する帳簿との間で相互にその関連性を確認できること。
  6. 検索機能 ・・・ 複数の要素の検索ができること。(取引日、取引金額、取引先等)

c.経理方法に関する要件(入力期間の要件)

  • 早期入力方式 ・・・ 受領後速やかに(おおむね7営業日以内)に電磁記録を保存する。
  • 業務処理サイクル方式 ・・・ 業務の処理に係る通常の期間(2か月間)を経過した後、速やかに(おおむね7営業日以内)電磁記録を保存する。
  • 適時入力方式 ・・・ 重要度の低い書類に限り適時電磁記録を保存する。

電子取引データの保存

a.真実性の確保

  1. 発行元がタイムスタンプを付した後に取引情報の授受を行うもの。
  2. 取引情報の授受後に速やかにタイムスタンプを付す。
  3. 訂正や削除を確認できるシステムに保存する。または訂正や削除を行うことができないシステムに保存する。
  4. 訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め備え付ける。

b.可視性の確保

  1. 保存場所に電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及び操作マニュアルを備え付ける。
  2. 電子計算機処理システムの概要書を備え付ける。
  3. 複数の要素の検索ができること。(取引日、取引金額、取引先等)

以上のようなシステムの要件が求められています。タイムスタンプ機能を提供しているクラウドサービスを利用することが一番の選択肢になると考えられます。

(参考)電子帳簿保存に対応した各社のサービス